4つの眠れない夜となる行動に気をつけ、ぐっすり眠りやすくなる方法をご紹介します
誰もが一度や二度、「眠りたいのに眠れない!」という夜を過ごした経験があるのではないでしょうか。
眠ろうと思えば思うほど、目が覚めてしまうジレンマ…。焦ってスマホで「眠れない」「眠れる方法」と検索してみたり。よかれと思ってとったその行動がよけいに眠りを妨げていないでしょうか。ぐっすり眠れないと、日中の生活の質に影響を及ぼしてしまいます。
眠れない夜に気を付ける行動と、ぐっすり眠りやすくなる方法をお伝えします。
よけいに眠れなくなる行動とは?
睡眠にスムーズに移行するには、自律神経系が交感神経優位から副交感神経優位に切り替わる必要があります。しかし、「眠ろう」と焦れば焦るほど頭は冴え、覚醒してしまい、交感神経が優位な状態になってしまいます。よけいに眠れなくなる行動を具体的にご紹介しますね。
- 寝る前の激しい運動
- パソコンやスマホを触る
- アルコールやお茶を飲む
- 暗いところで目を閉じて横になる
定期的な運動習慣がある人には睡眠の問題が少ないと言われており、適度な運動はぐっすり眠るために効果的です。
しかし、「寝る前の激しい運動は避ける」のが賢明です。
運動のゴールデンタイムは19時前後と言われていて、その時間帯が体温も一番高く、身体が運動に適している状態です。体温がもともと高いうえ、運動してさらに高くなるので、そのあと体温が下がる落差が大きくなって入眠しやすい効果があります。
その時間帯の運動ならばよいのですが、残業で遅くなった仕事帰りの22時にジムで運動…などは止めておきましょう。次に、よくやってしまいがちなのが、寝る直前まで「パソコンやスマホを触る」ことです。
スマホやパソコンから出るブルーライトには目覚まし作用があります。メールも、仕事に関するものなど内容によっては脳を覚醒させてしまいます。
就寝前のメールチェックはできるだけ控えましょう。「字を読むと眠くなるかも」と、ベッドにスマホを持ち込むのも逆効果です。
パソコンやスマホは、夜は早目に電源オフしましょう。
「アルコールを摂取する」こともよくありません。
アルコールを飲むと眠くなる方も多いでしょう。アルコールには入眠効果があるので寝付きはよくなるかもしれませんが、眠りが浅くなり途中で目が覚めやすくなるのです。また、習慣化すると入眠効果が弱まってくるため、入眠に必要なアルコール量がどんどん増えてしまいます。
寝る前に気分を落ち着けるために、「お茶を飲む」という行動もやりがちですが、このときに気を付けなければいけないのが、「カフェインを取らないようにする」ということです。カフェインには目覚まし作用がありますので、飲むならノンカフェインのものにしましょう。
タバコも同様に目覚まし作用がありますので避けた方が賢明です。
眠れないとき、原因として考えることの一つに「部屋が明るいから」があると思います。
そこで、部屋を真っ暗にして目をギュッとつぶって、まんじりともせず眠気がくるのを待ち続ける…。しかし、脳裏にいろんなものが思い浮かんで来て、いろいろ考えてしまったことはありませんか?部屋は明るすぎない方が、睡眠に関係するホルモン「メラトニン」の分泌はスムーズなので、照明を落とすことは本来悪くありません。しかし、いったん眠れない状態になってしまったとき、暗いところで目を閉じて横になっていると、ネガティブな考えが頭を巡りやすい傾向があります。また、眠れないことが続くと、「ベッド=眠れない場所」と脳が記憶してしまい、眠れないことが慢性化してしまうことがあります。
場合によっては「暗いところで目を閉じて横になる」のは、よけいに眠れなく行動の一つになってしまうということです。 眠りに不安がある場合は、「とりあえず横になる」というのはやめましょう。
ぐっすり眠りやすくなる方法とは?
では、眠れないときにはどう対策すればよいのでしょうか。ぐっすり眠りやすくなる方法をご紹介します。
起きたらすぐ朝日浴びる
起きたら朝の光を15秒間浴びましょう。光が目に入ってから約14時間〜16時間後に、睡眠ホルモンと言われる「メラトニン」が発生します。つまり、眠くなるための予約タイマーを朝のうちにかけておくのです。
ルールを守ってちょっとお昼寝
昼食後に眠気が来る方は多いと思います。昼寝は健康効果が高いのでしていただいて大丈夫です。ただ少しルールがあります。
・15時までにとること
15時を過ぎてしまうと、その日の夜の睡眠に影響が出てしまいます。
・時間は20分程度
お昼寝はあくまでも仮眠なので、深い眠りにならないよう注意してください。
就寝の数時間前までに食事をすませる
夕飯は、就寝数時間前…できれば、3時間前までにすませておくことが理想です。寝る直前に食べ物が胃に入ってしまうと、胃腸が消化しようとして体温が上がり、眠気を遠ざけてしまいます。
自分に合う方法でリラックス
心地よい音楽や好きな香りを利用してリラックスしましょう。特にアロマは、寝る前のリラックスタイムに最適です。嗅覚は脳とダイレクトに結びついているので、アロマをうまく取り入れると質のよい睡眠につながります。
快適な睡眠環境の確保
眠っている間、リラックスできる環境を整えておくことが大事です。温度や湿度、寝具、光などさまざまな面から睡眠環境を見直してみましょう。
人は肌触りのよいものに触れるとリラックス状態に近づくと言われているので、布団やパジャマにこだわってみるのもよいですね。
眠るための自分だけのスイッチ“入眠儀式”を持っておく
「これをすれば眠れる」というおまじないのような習慣を持っておくことのもよい方法です。それを「入眠儀式」と言います。「例えば、フワフワのパジャマに着替えたら、自分のおやすみスイッチを入れることができる」のように、脳に無条件に刷り込むことがポイントです。
《睡眠障害が引き起こす疾患》
眠れない症状に悩んでいるのは、日本人の5人に1人と言われています。
不眠に悩む人が多くなった理由として考えられるのは、24時間社会における生活リズムの乱れ、高齢化社会、ライフスタイルの多様化など、様々な要因があります。厚生労働省のサイト「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」では、「睡眠に何らかの問題がある状態」を、「睡眠障害」と定義しています。
睡眠障害は夜眠れない以外に
- 昼間に眠気が続く
- 睡眠中の異常行動
- 睡眠リズムの乱れ
といった症状も見られ、心身や社会生活へ支障をきたす恐れがあります。
睡眠障害が引き起こす疾患としては、どのようなものがあるか見てみましょう。
一番は「脳の機能」の不調です。皆さんも、睡眠不足だと「頭が回らない」「ミスが多くなる」という経験があるでしょう。脳はエネルギーと休養をたくさん必要とする器官ですので、睡眠障害によって休憩できなくされると、その働きが格段に悪くなってしまい、仕事に集中できなくなったり、車を運転するといった高度な作業に支障をきたしたりします。
影響を受けるのは、仕事や高度作業だけではありません。
ストレスを感じやすくなったり、イライラしやすくなったりと感情面・思考面にもマイナスの影響を及ぼします。イライラは体内ホルモンの分泌異常を引き起こし、以下のような悪影響があるとされています。
- 睡眠中生産される抗体が減ってしまい、免疫力が低下する(病気になりやすくなる)
- ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌で高血圧になる
- 新陳代謝が衰え、体重増加や脂質増加につながる
- 十分に疲労を回復できず、生活習慣病や脳卒中の発生リスクが高くなる
まとめ
このように、「夜眠れない」ということは、仕事のミスが増えるだけでなく、事故や命に係わる疾患の可能性を含んでいるということがお分かりいただけたでしょうか。
睡眠障害の特徴のとして「日中の過剰な眠気」があります。最近、よくあくびをするようになった、以前はなかったのに居眠りをすることが多くなったというような場合は、睡眠障害を疑ってみてもよいかもしれません。
上のような行動に気を付け、対策を講じても、やはりまだすっきり眠れないという方は、睡眠中に呼吸が止まってしまっているということも可能性の一つとして考えてみてください。いわゆる「睡眠時無呼吸症候群」です。お心当たりがある方は、一度専門医にご相談されてみてはいかがでしょうか。